結びの五節供 – 上巳

結びの五節供 – 上巳

 

【結びの五節供】

上巳(じょうし) 三月三日

上巳は月の初めの巳(み)の日。
古代、中国では奇数が重なる忌日として、
災厄や穢れを祓うために野に出て緑の精気を浴び、
水辺で身体を清め、宴を催した。
その「踏青(とうせい=青い草を践む)」の習わしと、
人形(ひとがた)に厄を移して水に流し、
禊ぎを祓う日本古来の風習が融合したのが
雛祭りの始まりと考えられている。
雛祭りの膳には、旬の蛤やサザエをはじめ、
女の子の幸せな結婚や子孫繁栄を願う
めでたい食材が使われる。
季節の変わり目である節供に旬のものを食するのは、
自然の恵みを神に供え、共にいただくことで
ご加護を受ける意味がある。

貝桶の緒結び/うろこ結び
上巳の節供は水とのつながりが深い。雛祭りの料理に貝類が使われるのは、発祥となった磯遊びの名残でもある。
二枚貝は対になる貝同士でなければ合わないことから、夫婦和合や貞節の象徴とされ、「貝合わせ」の貝を入れる美しい貝桶は、公家や大名家の婚礼道具の中でも最も大切なものとされた。貝桶の緒は底で十文字に掛け、蓋の上でうろこ結びにする。

制作/関根みゆき(結び研究家)
「結びの五節供」は、日本に古くから伝えられてきた五節供にまつわる結びに独自の考察を加え、資料をもとに再現・創作したものです。