風と鈴

風と鈴

「縁むすび風鈴」大勢の方にお参りいただきありがとうございます。
今日はあらためて、当神社が風鈴に込めた想いをお伝えしたいと思います。
少々長くなりますが、よろしければお付き合いください。

「風と鈴」

風や鈴は、神社とどんな関わりがあるのでしょうか。

神社の鈴というと、賽銭箱の上に吊るされた大きな鈴や、神前で巫女が振り鳴らす
神楽鈴などが思い浮かぶと思います。

じつは鈴の澄んだ音色には、清めや祓えの力があるとされてきました。
神社の鈴は、「心身を清めてから神様にお参りをする」という古くからの日本人の考え方を
表わしているのです。

でも、鈴は必ずしも人が鳴らすばかりとは限りません。
人が鳴らさない鈴。
自然に鳴る鈴。
それが「風鈴」です。

古来、日本人は風に神様の出現を感じてきました。
さらに、風は人の想いを乗せて遠くへ運んでくれるものとも捉えていたようです。

昔の人は、風が吹くと

「あっ、いま神様がいらっしゃった」
「私の想いがあの人に届いたかな」
「あの人が私のことを想ってくれているのかしら」

などと考えたのですね。
メールも電話もない時代に、「風が想いを運んでくれる」と考えただなんて、
日本人はなんて風流なのでしょう。

風も神様も、もちろん目には見えませんが、日本人はこうして「目に見えないもの」を
敬う心を大切にしてきました。
一方で今の時代に生きる私たちは、ついこうしたことを忘れがちです。

川越氷川神社では、日本人の、目に見えない存在に対する気持ちを思い出して
いただきたく、「縁むすび風鈴」を始めました。
境内に二千個の江戸風鈴をさげ、願いごとを書いた短冊を風鈴に掛けていただく行事です。

風鈴の下で「ちりん」と音が聞こえたら、風が想いを運んでくれた合図かもしれません。
短冊に込めたさまざまな想いが風に乗って、神様や大切な人の元に届きますように。

夏のあいだ、皆様のお越しを神社職員一同、心よりお待ちしております。