誉桜

誉桜

 

今年の桜は例年より早く咲き、そして早く散りました。 本当、あっという間ですね。

川越氷川神社裏を流れる新河岸川の桜は「誉桜(ほまれざくら)」と呼ばれています。

約三百本の桜がなぜそう呼ばれるのか。
それには理由があります。

時は太平洋戦争の頃。
川越の老舗和菓子舗「亀屋栄泉」当主・中島良輔氏がご子息二人を戦地へ
送り出すことになりました。
そして、彼らが帰還した折りにはその名誉を称えるため、満開の桜で盛大に出迎えようと、
ひそかに苗木を準備され無事の帰りを心待ちにしていました。
しかし戦況悪しく、惜しくもお二人は散華され、その身は二度と懐かしい
川越の地を踏むこと叶いませんでした。
失意の中島氏はそれでも気を取り直し、ご子息たちの御霊(みたま)を慰めるため
氷川神社裏の新河岸川河畔に三百本の桜を奉納し「誉桜」と名付けました。

こ自身の大切な思い出とその季節の花が不思議と結びついている人も多いことでしょう。
春に咲く桜はその代表格の花かもしれません。

「春を楽しむように人生を楽しむ心があるならば、
やがてまた春のそよ風のように、心もやわらいで、生き甲斐も感じられてきます」

松下幸之助さんの言葉です。
私も、今があることに感謝をしつつ、来年の誉桜をまた楽しみに過ごしたいと思います。